制作工程について|五月人形の人形師 原 孝洲

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継承した伝統技術と感性で命を吹き込む。
01繊細な頭づくり

生地づくり

粘土でつくった頭の原型を、木枠に入れて樹脂を流し込み、カマ(型)をつくる。カマに石膏を流し込む。髪の毛で隠れてしまう耳が崩れなように、注意してカマから頭を抜く。

01繊細な頭づくり 生地づくり
胡粉かけ

胡粉かけ

蛤の殻の粉末を水と膠で溶いた胡粉を、下塗り、中塗り、上塗りと、きめを徐々に細かくして刷毛で塗り重ねる。工房内の温度や湿度に合わせて胡粉を調合。これらの技巧が無形文化財に指定されている。

頭の造形

大きくわけて頭の造形は3種類。
それぞれの特長に合わせて味わい深い顔に仕上げる。

  • 丸顔

    丸顔 原孝洲のもっとも得意とする造形。生まれたばかりの赤ちゃんの福々しいお顔から少し成長したお顔まで、さまざまな丸顔の頭がある。

  • 細面

    細面 しもぶくれのお顔だちに、あどけなさは残るが、大人びた上品な雰囲気も感じさせる。どこか落ち着いた幼子のかわいらしさが漂う。

  • おぼこ顔

    おぼこ顔 赤ちゃんそのもののぽっちゃりとしたお顔だちの頭も原孝洲独特の造形。先代から受け継いだおぼこ顔に洗練さを加えた。

02こころ和むお顔 面相
02こころ和むお顔

面相

「笹目」の技法を用い、片方の目だけでも細筆で30〜50本もの線をひいて描く。髪の生え際を描く「かきさげ」は、筆を回転させて自然さを出す。口紅は、濃淡2色の朱を使って唇の立体感を出す。

結髪

上質のスガ糸(絹糸)を用いる。糸の端に糊を付け、額の溝に丹念に植え込む。男雛は「髷」、女雛は「垂髪」に結い上げる。とくに女雛は、ふんわりと空気を含んだような髪型に仕上げていく。

結髪

お顔の表情

表情は、頭の造形とともに眉や目、かきさげの描き方を変えて表現する。手描きだからこそ、見る人のこころを和ませる豊かな表情に仕上がる。

上:微笑みを浮かべた表情 にっこりと笑っているようなまなざし。あどけなさを表現するために顔のパーツを中心に寄せて、口角は上げ気味。目は丸みをおびた笹目に描いている。

下:きりっと上品な表情 かわいらしくも落ち着きがある奥ゆかしい表情。飽きのこないお顔だちに優美さが漂う。墨の濃淡を用いて少し切れ長の笹目に描いている。

お顔の表情
筆で描く笹目

筆で描く笹目

墨の濃淡を変えながら、上瞼から瞳、下瞼へと何十本もの線で描く。瞳は筆を左右に小さく走らせ、わずかな強弱を重ねて描き出す。一人前になるまでには10年を要するという笹目技法は、一筆一筆、丹精を込めて描くため同じ人形はできない。

03精巧な造形の胴体

カマづくり

粘土で胴体の原型を起こし、木枠に入れて樹脂を流し込み、カマをつくる。前と後の2分割にする。

カマ詰め

桐の粉に正麩糊を混ぜてつくった桐塑をカマに詰めて胴体をつくる。前後のカマにそれぞれ詰めてから合わせて一体化する。

03精巧な造形の胴体 カマ
ヌキ・彫塑

ヌキ

カマに詰めて、およそ1週間、乾燥させる。固まった胴体をカマからそっと外し、さらに天日で1週間、乾燥させる。

彫塑

はみ出した部分や不要な部分を竹べらや小刀で削り取る。凸凹やひび割れは桐塑で補整する。やすりで表面をなめらかにしたり、補修したりして、完全な胴体に仕上げる。

装束に合わせた造形

  • 袍が平坦な胴体

    袍が平坦な胴体

    男雛の装束である束帯は、平安時代の最高礼装。いちばん上に着る物を「袍」と呼ぶ。袖をなだらかにして、「笏」を持つ手や袴から出た足を自然に見せる工夫を施した胴体の造形。

  • 袍の袖が複雑な胴体

    袍の袖が複雑な胴体

    「袍」の袖を着ているそのままに見えるような複雑なひだで表現した胴体の造形。「笏」を持つ手が隠れている様を忠実に表し、袴から出た足はきれいに内側へ向けられている。

04艶やかな衣裳
04艶やかな衣裳
  • 龍村織物

    龍村織物

    創業1894年、高級織物の名門龍村が織り上げた絹織物の逸品。法隆寺裂、正倉院裂などの復元のほか、ペルシャやトルコ、中国の遺跡の古代織物の復元にたずさわり、国際的にも高く評価されている。

  • 誉田屋勘兵衛

    誉田屋勘兵衛

    250年以上の歴史を持つ、京都・西陣を代表する絹織物の名家。正絹にこだわり、金糸金箔を使って多彩な紋様を織り出した金襴は、 まさに名品。オリジナリティで個性のある作品を生み出している。

  • 伴戸商店

    伴戸商店

    京都・西陣で、金襴の伝統世界を守る老舗の織元。新しい技術や紋様づくりにも積極的に取り組み、毎年300種類以上の新作を発表している。

  • 瀬良織物

    瀬良織物

    1927年に広島県福山市で創業した、関西以西では唯一の織元。 京都にもひけをとらない技術力で、色鮮やかで繊細な絵柄の金襴を織り続けている。

  • ちりめん

    ちりめん

    布面のしぼ(ちぢみじわ)が特長の、高級絹織物。 このしぼの凹凸の乱反射によって色の深みとしなやかな風合いが生まれる。美しい色が豊富にあり、原孝洲ならではの配色の妙を楽しめる。

  • 純金京蒔絵

    純金京蒔絵

    上品なちりめんの衣裳を木目込み後、多彩な色と純金で描く京蒔絵。手描き友禅の蒔絵師が何度も色を重ね、 その上に金箔を貼って仕上げるため、厚みがある豪華な印象で、繊細な模様が可能。

05熟練の木目込み

筋彫り

彫塑が終わった胴体に、衣裳のデザインに合わせて布地を木目込むための溝を彫る。溝の深さや大きさが仕上がりに影響するので、小刀や彫刻刀を使い、慎重に行う。

05熟練の木目込み カマ
木目込み・取付け

木目込み

衣裳となる布地は、あらかじめ各部位に合わせた型紙に沿って裁断しておく。胴体の溝に糊を付け、へらや目打ちを使ってていねいに木目込む。

取付け

胴体に仕上がった頭を取り付ける。頭に描かれた面相は角度によって、見える表情が変わってしまうため注意深く取り付ける。

完成

完成

一つひとつの工程に、高い技術力を注いでできあがった木目込人形。どの角度から見ても、また細部を見ても、遜色のない美しさが原孝洲の自信である。

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